夢を肯定してもらった20歳の孫のような

裏路地を歩いているとT字路にぶつかりました。
右に行こうか左に行こうか迷っていると、正面の家からお年を召したおばさまが出てこられ、道を渡ってゆっくりとこちら側へ歩いてこられます。
 
目があったので会釈をすると、
「あなたは何をしておられるの？」
と聞かれました。
「写真を撮りながら駅から駅まで歩いておりまして」
警戒されちゃったかな……と思って恐縮して答えると、
 「あら、そうなの。いいことなさってますね」
と、とても感じのいい笑顔を向けてくださいました。
 
カメラ持って歩いてるだけで怪しまれる時代に、気持ちよく肯定していただいて、なんだかとても嬉しくなってしまいました。
 まるで、将来の夢を自信無さげにボソっと口にしたあとに、ばあちゃんに「いい夢ね、がんばんなさい」と言われた20歳の孫のように。

 （※　許可をいただいて撮影しています）

お礼を言って駅の方へ歩きかけて、私はすぐにおばさまのところに戻りました。
「今撮った写真を、今度、紙に印刷してお持ちします」
と言うと、
「いやいや、いいですいいです。自分の写真はあまり見たくないから」
と手を顔の前でフリフリされました。
 

 
 やっぱりこの写真、持って行こうかな……。
そう悩んでしまうくらいのステキな表情の写真が撮れていました。