神様は同級生

日々起こったこと

お客様の古いサーバーが、引っ越しの際に壊れてしまいました。
サーバー担当の業者さんは他社さんです。
古すぎてバックアップも取ることができず、『こうなったら「壊れない」という前提で運ぶしかないですね……』という結論になり、わたしも運ぶのを手伝いました。
引っ越し先の事務所で、サーバーの電源を入れても、ずっと真っ黒な画面のまま……。
2ヶ月後に新しいサーバーに切り替える予定で、業者さんが新しい業務ソフトを改良中とのことです。
それまでなんとかこの古いサーバーでしのぎたいと思っておられたそうなんですが、それを待たずして壊れてしまいました。

サーバーが壊れてしまったら、業務がすべて手書きになってしまうそうで頭をかかえておられました。
翌日、サーバーにも詳しい別の業者さんのところへ持って行きましたが、復旧は不可と判断されました。

お客様は、しかたなく手書きの伝票で業務をされていましたが、今までの数倍も時間がかかり、休日も出勤しないと追いつかない状況となりました。

「このまま手書き業務のままで、あと2ヶ月仕事をするのは現実的に無理なので、新しいシステムを早く準備してほしい」
ということになり、開発担当の業者さんが大慌てとなりました。

しかたなく試作中の段階で、サーバーを新しくするも、未完成のためエラーが頻発。
手書きの方がむしろ早い、という状況。

なかなか先が見えずに、みんな頭をかかえていました。

4日後、救世主が現れます。
この窮地を救ってくれたのは、同級生のセキくんでした。

彼が独立してパソコン関係の仕事をしていることは知っていたんですが、体調が悪いときがあると聞いていて遠慮もあったのかセキくんには連絡しておりませんでした。

サーバー本体をセキくんの家に持っていき、事情を説明しました。
「なるほどなるほど。あーそういう症状ならもしかしたらデータは生きているかもねー。ウインドウズを最初に読み込みするブートの部分のプログラムが壊れている感じがする。どのレベルで壊れているかによるけど、やれることはやってみる。あまり期待しないでねー」

私はサーバーを預けました。
このひょうひょうとした声を聞いて、なんとかしてくれるような予感を感じました。

翌日、日曜日。
セキくんから連絡があり、
「なんとか立ち上がったよー。やっぱり最初の立ち上げ部分のプログラムが壊れててね、復元ソフトを使ってもダメだったから、手打ちでプログラムを書き込んだら立ち上がってきた。クライアント側からこのサーバーが見れるかどうかは、現場やってみないと分からないけどねー」

「やりおった!」
いや、その前にちょっと……。
サラッと言ったセリフの中に気になるフレーズがあった。

「手打ちでプログラム!?」

「うん、リカバリーのCDを入れてもダメだったからねー、手打ちでシステムパーティション作成してみたんだけど」
「そんなレベルのことができるわけ?」
「うん、でもまあ、出来る人はけっこういるよー」
「いやいや、けっこうおらんよ」
「あはは。まあ、そうね、世間的にはあんまりいないかもねー」

いません。

仕事が追いつかずに、日曜日だけどみんなで仕事をしておられるお客様のとろこへ持っていきました。
徹夜続きのサーバー開発業者さんも来られてました。

みんなが見守る中、復旧したかもしれないサーバーの電源を入れました。
祈っている人もいます。

いつもの画面が表示されました。
みんな拍手喝采です。
「神様ーー!!」
とお客様に言われましたが、
「神様は同級生です。わたしはただ運んだだけの者です

サーバー開発業者さんは、
「これでやっと寝れます……いやほんと助かりました」
とホッとした顔で帰っていかれました。

多くの人が救われた場面を目の当たりにして、
知識や技術力って人助けができるものなんだと、あらためて実感したところです。

仕事は人助け。
仕事をする原点を思い出させてもらったような出来事でした。

セキくんに電話で報告。
「ボクが神様なら、世の中神様だらけだよー。でもよかったよかった。また何かあれば。ほーい」

すごいレベルの仕事をする人ほど、「どうだオレ!」という重みがない。

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